松田聖子のヒット曲「赤いスイートピー」の誕生秘話

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1982年1月21日、当時トップアイドルの名をほしいままにしていた松田聖子が8枚目のシングルをリリースした。
曲のタイトルは「赤いスイートピー」。
その歌は、これから訪れる新しい季節に向けた“春ソング”だった。
クレジットには作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(松任谷由実のペンネーム)の名が記されている。
スイートピーと言えば、春の代表的な花である。
原産はイタリアのシチリア島。
花言葉は「門出」「優しい思い出」「青春の喜び」「別離」「微妙」などなど。
門出の由来は、花姿が今にも飛び立つ蝶のように見えることからだという。
スイートピーの“スイート”は香りの良いこと、そして“ピー”は豆という意味らしい。

「ライバルに曲を書いてみない?」


当時、作詞担当の松本隆がユーミンに作曲を依頼したという。
“トップアイドルの松田聖子に女性ファンを増やしたい”というレコード会社(プロデューサー)の意向に対して、ユーミンは作曲家としてではなく名前(知名度)で選ばれる事を嫌い、当初は渋っていた。
そこで、作曲者名にペンネームである「呉田軽穂」を使用する条件で引き受けたのだ。

「誰が作ったか知らなくても、曲調だけで聞き手の心をつかめたなら、これほど作家冥利に尽きる事はない。そして本当にその通りになったのでとても充実感のある仕事でした。」


当時の聖子は過度なスケジュールの影響から喉を酷使し、歌唱時に声が擦れてしまう事があった。
そこでプロデューサーはユーミンに対して、喉に負担が掛からないようキーを抑えたスローバラードを作って欲しいと依頼した。
ユーミンが完成させた曲は、元々はサビの最後のフレーズで音程が下がる曲だった。

「春をイメージした歌なので、最後は音程を上げる形にして春らしくしてもらいたい。」


プロデューサーからの難しいリクエストを受けて、ユーミンは戸惑ったという。

「提供した曲をダメ出しされたのは、後にも先にもその時だけなのですごく驚きましたが、今になって考えると春の歌だし、あれで良かったんだと思います。そして、相手が誰であろうと妥協せずに向かい合うスタッフがいたからこそ、彼女(聖子)は短期間であれだけの存在になれたのでしょう。」


松本はユーミンが先に作ったメロディーを受け取った時「単純に詞をつけていくとユーミンみたいな語感になってしまう」と感じて、かなり抵抗して、松本風の言葉をわざと並べたという。
長く聖子の曲を担当した松本は後年、この曲で聖子と“同期した”と表現している。
松本隆とユーミンは、その後も「渚のバルコニー」「秘密の花園」「瞳はダイアモンド」「Rock’n Rouge」など、トップ歌手・松田聖子を語るにおいて外せない名曲を次々に生み出してゆく。
余談となるが…当時スイートピーという花には白とピンクしかなかいと思われていた。
(※実際には1800年頃に存在していたという記録も残っている)
現在は赤い花びらの同種が存在するのだが、その誕生秘話を松本自身が語っている。

「ディレクターの若松さんが“赤いスイートピー”ってタイトル考えたんだけど、それで歌詞を書けないかって言われたんです。僕は当時、赤いスイートピーが存在しないのを知らなかったんです。」

「テーマはあくまでも恋愛における幻のようなものでして。この女の子が見ているスイートピーは幻視したもの。現実と幻想の間、境目みたいなものですね。恋愛をしているときってそうじゃないですか。勝手にいろんなものを付け足してピカピカ見える。」


この歌の大ヒットをきっかけにスイートピーの品種改良が進み、実際に“赤いスイートピー”が誕生してしまったのだ。
松本はそのことを後から知ることとなる。

「(品種改良には)何億円もかかるらしいですね。僕は間接的に生け花協会に革命を起こしてしまったのかな?(笑)」


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