HARRY(ザ・ストリート・スライダース)27歳〜その音楽ルーツ、作曲スタイル、日本語で歌うことへのこだわり
HARRYこと村越弘明は、1980年代〜90年代の日本のロックシーンにおいて大きな足跡を残した伝説の4人組THE STREET SLIDERS(ザ・ストリート・スライダーズ)のヴォーカル&ギターであり、バンドにおいて大半の楽曲を作詞作曲した男だ。
彼は27歳の時に、ある意味バンドの黄金期とも言えるブレイクポイントを迎え、初の武道館公演“天国と地獄”を目前にしていた。
12inchシングル「Back To Back」(’86.06.21)、7th シングル「Special Women」(’86.11.01)、8th シングル「Boys Jump The Midnight 」(’87.01.21)を立て続けにヒットさせ、5作目となるアルバム『天使たち』(’86.11.21)を引っ提げて多忙な時期を過ごしていた。
1983年のデビュー以降、バンドのフロントマンとして独自のロックンロールスタイルでシーンを切り拓いてきた彼は、ちょうどこの時期に出版された『夢の跡/ザ・ストリート・スライダーズ』のインタビューで、当時の心境を不器用ながらも丁寧に語っている。
「将来のことなんてわからない。考える気にもならないし、先のことを想像するなんて退屈でたまんない。」
デビュー以来、雑誌のインタビューやラジオ・テレビ番組では“ほとんど喋らない”姿勢を貫いてきた彼が、その本の中では(珍しく!?)音楽を始めたきっかけやロックと出会ったときのことを口にしていた。
「音楽を始めたきっかけはギター。理由はよく憶えてないけど…とにかくバンドが好きだった。それも歌じゃなくてギターね。歌はあんまり自分にできそうもなかったし(笑)なんてのかな…バンドの真ん中に立ってマイクを持って歌うってのは考えらんなかった。」
彼はロックと出会った当初、ビートルズやローリング・ストーンズ、そしてヴェルヴエット・アンダーグラウンド、ドアーズ、Tレックスなどに熱狂していた。
「俺の場合は動機が軽くてさ(笑)ただカッコイって思ったんだよ。特にスリーコードの曲とか。」
曲を書くのが昔から好きだったという彼は、作曲についてこんな持論があるのだという。
「ホイホイできちゃうのって、あんまり愛着がねぇじゃん。こんなの誰でも書けるじゃねぇのとかさ。だから、いいリフなんか頂戴してきてくっつけても、俺は全然嬉しくもなんともないんだ..