さくらの歌〜日本人が大好きな“桜ソング”にまつわるエトセトラ
さくら(独唱)/森山直太朗
さくら さくら 今、咲き誇る
刹那に散りゆく運命(さだめ)と知って
さらば友よ 旅立ちの刻(とき)
変わらないその想いを 今
今年もそろそろ桜の開花が発表される時期となりました。
いよいよ春本番ですね!
東京では3月末〜4月初旬にかけて見頃を迎えるところが多く、桜の名所はどこも花見客で賑わいを見せることだろう。
春の息吹を感じその到来が近づくにつれ、思わず口ずさんでしまう歌がある人も少なくないはず。
J-POPにおいて“桜ソング”というジャンルが定着したのはいつ頃からなのだろう?
なぜこれほどまでに日本人の琴線に触れるのか?
この季節になると、テレビやラジオ番組などさまざまなメディアを通して「桜」をテーマとした楽曲がフィーチャーされる。
昔から「桜」を歌った曲は多数あったはずだが、歌謡曲のジャンルとして“桜ソング”が広く世間に定着しはじめたのは、今から十数年前のことだという。
そのイメージを決定づけた歌が、2000年4月にリリースされた福山雅治の「桜坂」だった。
同作は、この年の年間シングル売上ランキング2位となる228万枚以上を売上げ(オリコン調べ)、以降、毎年のように桜にまつわる楽曲が発表されるようになった。
2000年代中盤にかけて、森山直太朗の「さくら(独唱)」(2003年3月発売)やケツメイシの「さくら」(2005年2月発売)、コブクロの「桜」(2005年11月発売)など、いまや王道となった上質な桜ソングが次々と誕生し、軒並み好セールスを記録。
“桜ソング”自体のブランド感もより高まり、その後も多くのアーティストが同様のテーマで楽曲を発表した。
例えば、いきものがかりが「SAKURA」(2006年3月発売)でメジャーデビューを鮮烈に飾ったり、AKB48が毎春“桜ソング”のリリースを恒例としている。
「桜」が日本人の心を掴んでやまないのは、なんといっても開花から散り際、昼間と夜、その一瞬一瞬を楽しませてくれる“刹那的な美しさ”があるからだろう。
この花が脚光を浴びはじめたのは…さかのぼること平安時代。
『古今和歌集』や『源氏物語』といった書物の中に度々登場したり、俳句などの季語としても馴染みが深かったりと、その美しさは時代を超えて人々を魅了し、眺める者の感性を刺激してきた。
親しみという点では、日本の紙幣や硬貨のデザイン..