幻の音楽スペシャル番組となった『セブンスターショー』を作ったのはドラマの鬼才・久世光彦
1976年2月15日から3月28日までの7週間 、日曜日の19時30分~21時までという当時のゴールデン・タイムを使って、『サンデースペシャル・セブンスターショー』と題した音楽番組がTBS系列でオンエアされた。
当時はNHKの大河ドラマが絶大な人気を誇っていたが、その年の1月4日から加藤剛と吉永小百合が主演する『風と雲と虹と』は、初回から30,1%という高視聴率で始まっていた。
そこにTBSがぶつけたのが90分の単発番組で、全7回の音楽スペシャル企画であった。
企画とプロデュースを手がけた久世光彦はテレビドラマの世界では、堺正章や樹木希林によるスラプスティックなギャグを使った演出で、斬新で型破りな『時間ですよ』が高視聴率をあげて鬼才と謳われていた人物だ。
TBSのドラマ班で演出家とプロデューサーを兼ねていた久世は、1971年から始めたTBSの水曜劇場で始めた連続ドラマの『時間ですよ』が、平均視聴率29,5%、最高36,2%という数字を上げて、1973年の第3期まで続く人気ヒット・シリーズに成長させていく。
さらには1974年から始まった向田邦子脚本による『寺内貫太郎一家』も、小林亜星と西城秀樹による派手な親子喧嘩のシーンと、「お茶の間スラップスティック」と呼ばれたギャグが話題になり、1975年にも続編の『寺内貫太郎一家2』が作られる人気シリーズになった。
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久世の演出とプロデュースによるドラマの大きな特徴は、物語にどう関わるのかがよくわからない〝おかしな歌″が劇中歌として流れたり、随所にユニークな挿入歌などが使われたことであった。
しかも、それらのなかから大きなヒット曲が次々に生まれてきたのだった。
浅田美代子の「赤い風船」、天地真理の「水色の恋」、さくらと一郎の「昭和枯れすすき」、郷ひろみと樹木希林の「お化けのロック」「林檎殺人事件」などが記憶に残る印象的なヒット曲になった。
そして1975年には阿久悠の原作で制作した『悪魔のようなあいつ』の主題歌で、主演した沢田研二が歌った正攻法の「時の過ぎゆくままに」が大ヒットした。
久世は歌が好きで、ほんとうに歌謡曲を愛していた。
そこで当時のヒット商品だった日本専売公社のセブンスターにひっかけて、発売元の1社提供によるスペシャル音楽番組を企画した。
今でも大概はそうなのだが、テレビにおける歌番組には司会進行役がいて、..