グレープフルーツ・ムーン〜誰もいなくなった閉店後の仕事場で作曲をしていたトム・ウェイツ

未分類
この記事は約5分で読めます。
Pocket


グレープフルーツみたいな月と光る星がひとつ
僕を照らしている
あの歌がもう一度聴きたくて
焦がれている僕のことがわかるかい?
あのメロディを聴くたびに
心の中でなにかが壊れてしまうから
グレープフルーツみたいな月と光る星がひとつ
潮の流れを戻すことなんて出来ないのさ


幼い頃に両親の離婚を経験したトム・ウェイツは、12歳から母親と共にサンディエゴで暮していた。
15歳になった頃からピザハウスで深夜の雑役をしていた彼。
その仕事内容は、閉店後から明け方にかけての皿洗いやフロアの掃除だった。
夜に生活する人たちから様々なことを学びながら二十歳を過ぎた彼は、あるナイトクラブのドアマンとして働くようなった。
彼はそこで見聞きする“真夜中の風景”や“不起用な人間の姿”を詩に綴り、閉店後の誰もいなくなった店内でピアノやギターを弾き、曲を書くようになったという。
トム・ウェイツが24歳の時に発表した1stアルバム『Closing Time』(1973年)に収録されたこの「グレープフルーツ・ムーン」は、きっとそんな日々の中で紡がれたのだろう。

乗り越えられない運命なんてなかったのかもしれない
君は僕にインスピレーション(大切なもの)を与えてくれたけど
それはとてつもなく大きな代償だったよ
あのメロディを聴くたびに
心の中でなにかが壊れてしまうから
グレープフルーツみたいな月と光る星がひとつ
もはや隠しきれはしない


トム・ウェイツにまつわる書籍『酔いどれ天使の唄』(大栄出版)、『素面の、酔いどれ天使』(東邦出版)の著者パトリック・ハンフリーズは、この曲が書かれた頃のトムの作曲スタイルについてこんなことを語っている。
『Closing Time』のジャケットは、彼が描いた“音”のイメージに近い。
時計の針は3時22分を指している。
午後ではない、午前だ。
くたびれたシンガーが、バーの傷だらけのピアノの前に座っている。
ライ麦ウイスキーをグラス一杯、ビールを一本、灰皿は吸殻でいっぱいだ。
そしてインスピレーションが湧いてくるのを待ちながら、煙草をギリギリまで吸う。
この(ジャケット)写真は、彼がジェームス・テイラーやキャロル・キング、ニール・ヤングやジョニ・ミッチェルと同じ時代に、新進気鋭のシンガーソングライターだった何よりの証拠だ。

遥か太古から…人類は月を眺めながら想いに耽っていたのだろう。
日本最古の物語といわれている『竹取物語』でも、月は人々の信仰の対象のように描かれている。
トム・ウェイツが下積み時代にサンディエゴで見上げていた月。
私たちが今夜見上げる月。
貧しい国の空に浮かぶ月。
豊かな街を見下ろす月。
職場の窓から見上げる月。
病室の窓から見える月。
独り暮らしのアパートの窓から覗く月。
坂の途中で笑う月。
戦場の月。
恋人達を照らす月。
老人の瞳に映る月。
どんな時代でも、どんな場所にいても、月は黙って我々を見ている。
せめて美しい満月の夜くらいは…心清らかでありたいものだ。

トム・ウェイツ『Closing Time』

ワーナーミュージック・ジャパン

こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。




【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2020”秋冬】
10月3日(土)京都 Bar USAGI
10月4日(日)兵庫(宝塚)IL grazie
10月10日(土)福岡 ROCK食堂(Honey Bee) 
10月11日(日)熊本(八代) bar 7th chord 
10月13日(火)小郡 ジラソーレ 
10月15日(木)沖縄(コザ)Music Bar F           
10月17日(土)沖縄(コザ)Crossover Cafe 614 
10月18日(日)沖縄(那覇)ABD Records BAR  
10月24日(土)群馬(前橋)水星 
10月31日(土)静岡(浜松) 地中海料理Selfish
11月1日(日)名古屋 喫茶ニューポピー
11月3日(火・祝)岐阜(高山)Cha‐mame Cafe
11月12日(木)会津若松 アングラ鉄板焼きマギー
11月13日(金)仙台 BAR和音
11月14日(土)秋田 カウンターアクション
11月15日(日)青森 SUBLIME 
11月21日(土)新潟 Live Bar Mush 
11月22日(日)新潟 『新潟農民カフェ福島潟店〜開民前夜祭〜』
11月28日(土)東京(高円寺) MOONSTOMP
12月11日(金)福岡 NIKAI
12月12日(土)大牟田 キャラクターBAR
12月13日(日)福岡 SWCショールーム『みんながサンタ!!2020』
↓チケットご予約&公演詳細はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12620574630.html



新作ミニアルバム『You』のタイトルナンバー「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。
「どんなに離れていても 何度生まれ変わっても 僕らは巡り逢う」
2020年4月22日リリース!!!
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12572525158.html
唄うたい佐々木モトアキの新曲「You」、山善の秀作「一本の赤い薔薇」のカヴァーを含む珠玉の作品集。
遠く離れて暮らす大切な人、男の友情、忘れられない場面、誰かの溜め息、出逢えた奇蹟、長く曲がりくねった道、喜びと悲しみ…どうしようもないこと。
7篇の歌物語に心を重ねて、あなたの大切な人(You)の名前を呼んでみてください。

The post グレープフルーツ・ムーン〜誰もいなくなった閉店後の仕事場で作曲をしていたトム・ウェイツ appeared first on TAP the POP.

タイトルとURLをコピーしました