歓喜の歌〜大晦日の大定番「第九」にまつわる3分読み切り豆知識

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日本の大晦日の“定番”と言えば…
世代によっては、その過ごし方も違ってくるので、今では「これ!」と言い切るのは難しい。
それでもやはり12月31日〜元旦の午前0時過ぎに“耳にするもの”と言えば「除夜の鐘」「蛍の光」そして…この「第九」ではないだろうか。
除夜の鐘のルーツは、寺=仏教(釈迦)なだけに大元を辿ればインドとなる。
蛍の光のルーツはスコットランドにある。
ベートーヴェンの第九は、言わずもがなドイツである。
日本という国に定着している文化や風習は、良くも悪くも多くのものがミクスチャーなのだ。
この「第九」が日本で初めて演奏されたのは、1918年(大正7年)のことだった。
当時、中国の青島はドイツの租借地であり、日本は第一次世界大戦に連合軍側に立って参戦すると、ここを占領しドイツ兵を捕虜として日本に連行し、徳島県板東町(現・鳴門市)にあった板東俘虜収容所に収容した。
ドイツ人捕虜たちは、収容所長の松江豊寿大佐の人道的扱いによって自由に音楽を楽しんでおり、同年の6月1日に「第九」を皆で演奏・合唱したという記録が残っている。



交響曲第九番ニ短調作品125(通称・第九)は、ベートーヴェンが作曲した最後の交響曲といわれている。
彼が晩年(1824年)に完成させたこの作品の最大の特徴は、合唱を取り入れていることだ。
当時は「声楽と交響曲は交わらないもの」と考えられいたのだが、その定説が一人の“型破りな音楽家”の手によって見事に覆されたのだ。
この歌詞がつけられた第4楽章のクライマックス部分のことを、我々は日本人は一般的に「歓喜の歌」または「歓びの歌」と呼んでいる。
しかし「歓喜の歌」の歌詞は、全編ベートーヴェンが手掛けたものではない。
ドイツを代表する作家フリードリヒ・フォン・シラーによって書かれた『歓喜に寄す』という詩を基にして、ベートーヴェンが編集したものだという。
フランス革命からわずか3年後の1792年、当時22歳のベートーヴェンは、シラーが書いたこの詩と出合い、深く感動したという。
「いつかこの詩に曲を付けたい!」と心に秘め…32年後、54歳になった彼は難聴に苦しみながらもこの大作を完成させたのだ。
一説では、ベートーヴェンが歌詞を書いたのは冒頭部分の「おお友よ、このような音ではなく心地よい歓喜に満ちた歌を歌おう」という一行だけだったとも言われている。
若き日のベートーヴェンの心を動かし、今までにない交響曲を完成させるきっかけを与えたシラーの『歓喜に寄す』には、こんな言葉が綴られていた。

「人類は平等で、お互いに愛し合うべきである。」


この世界、この地球に生きる我々人類の理想を表している内容であることから、「第九」は一年の中で最も大切な節目とも言える大晦日に演奏されるのだろう。


晴れたる青空 ただよう雲よ
小鳥は歌えり 林に森に
心はほがらか よろこびみちて
見交わす われらの明るき笑顔


<第九“豆知識”番外編>
それまでの交響曲が平均30~40分くらいで完結されていたのに対して、この「第九」は第1楽章から通しで演奏していくと全体で約75分前後かかるという。
そんな大作の誕生から158年の歳月が流れ…
1982年10月1日、世界初となるSONYと日立・DENONのCDプレーヤーの発売にあわせて、CBSソニーとEPICソニーから50タイトル、日本コロムビアから10タイトルのCD音源(コンパクトディスク)が発売された。
その中でも“世界初のCDアルバム”として最初に生産されたのはビリー・ジョエルのアルバム『ニューヨーク52番街』だったという。
ビニール盤のレコードにかわる記録媒体としてCDが開発された時、収録時間の上限を決めるにあたって名指揮者カラヤンが「第九を1枚で聴けるといい」と言ったことから74分に決まったという逸話もある。
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