ファンダンゴ〜観る者の心に“小さな宝物”が届けられる青春ロードムービーの傑作

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年末年始の深夜帯になると、だらだらとTVを観ていてそのまま眠ったり、いつの間にか朝の眩しい光を浴びていたり、そんな経験をしたことがある人は多いと思う。でもこれは「TV離れ」とはまだ縁がなかった1980年代〜90年代の頃の話。この時代に青春期を過ごした人なら、きっとたまたまやっていた「洋画」が意外に面白かったり、自分と同世代を描いた「青春映画」にけっこう感動した夜もあったはずだ。
劇場までわざわざ出向かなかったタイトルや存在さえ知らなかったタイトルが、数年後にはTVでひっそりと深夜放映(もしくはビデオ化)されている。何の知識も期待もないのに、思わず最後まで付き合った映画がたくさんある。こうした時間はその場限りの快楽に思えるが、大人になって仕事や家庭を持つようになると、それは実は「特別な体験」だったことに気づく。
『ファンダンゴ』(FANDANGO/1985)も、深夜放映されていたら思わず最後まで見てしまう青春ロードムービーだった。無名時代のケビン・コスナーが見られるという点でも大いに興味が沸くが、オープニングのパーティやキャデラックの路上シーンには「これはこのまま観るべきだ!」と思わせしまう何かがあった。そして馬鹿騒ぎが続いていく中で、最後になって心に小さな宝物が届けられた。
監督は本作が長編デビューとなるケビン・レイノルズ。スティーブン・スピルバーグによるアンブリン・エンターテイメントの第1回作品。はっきり言ってB級の出来栄え。しかし、だからこそのリアリティと情熱がある。青春映画はそれでいいのだ。ロケはテキサス州やオクラホマ州で行われ、ケビン・コスナーの初主演作となった。
1971年、テキサスのとある大学の寮内で卒業パーティが行なわれている。仲の良いグルーバーズの5人組にとっては、結婚を控えた仲間の一人の独身最後を祝うパーティでもある。だが時代はベトナム戦争の最中。招集を原因に結婚中止が宣言されると、リーダー格のカードナー(ケビン・コスナー)は他の4人を強引に連れて、バカ騒ぎ(ファンダンゴ)の旅へと出ることにした。就職、結婚、徴兵と、みんなが変わってしまう前に。
テキサスの道を猛スピードで走るキャデラック。「メキシコ国境でDOM(ドム)に会いに行く」ことが目的だ。途中ガス欠でなす術もなくなって無謀な試みをしたり、墓場で花火合戦に興じたり、危ないパラシュート体験をしたり。ドムとの再会を経たガードナーは、結婚破棄した仲間のためにある粋な行動に出る……。
終始、心地いい感覚に包まれる映画。音楽は70年代のヒット曲が流れ、サントラはエルトン・ジョンやキャロル・キングのほか、ステッペンウルフ、ブラインド・フェイス、クリーム、アイアン・バタフライといったラインナップ。80年代は良質な青春映画が大量に作られたが、作り手側が自らの青春期を振り返った結果、半分以上はこの作品のように60〜70年代を舞台にしたものだったことも特筆すべきだ。
秀逸なオープニングシーン



『ファンダンゴ』

『ファンダンゴ』

*日本公開時チラシ
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*このコラムは2015年12月30日に公開されました。
評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
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