ラブ IN ニューヨーク〜音楽はバート・バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガー夫妻

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80年代ブームはこれまでに幾度となく訪れてきた。そしてその10年間には大きく分けて前半の「アーリー80’s」と後半の「バブル80’s」があり、同じディケイドでも表情の違う2つの時代が存在する。
*このあたりについては中野充浩監修『バブル80’sという時代 1983-1994 TOKYO』に詳しいので、興味ある方は中古本でチェックしてみてください。
80年代の音楽には「邦楽」「洋楽」、映画には「邦画」「洋画」といった明確な線引きがあった。SNSやネットが当たり前になった今、こういった区別はほとんど意味を持たなくなったが、この時代に青春期を送った世代にとっては、目の前の邦楽・邦画を取るか、それとも洋楽・洋画に走るかのチョイスは、友達作りや恋愛面にも影響を及ぼすほど重要なこと。
特に1985年くらいまでの「アーリー80’s」はその傾向が強く、どちらに進むかによって会話の内容や物事への感性に随分と違いが出ていた(どちらが良いか悪いかの問題ではなく)。今から思えば、日本の若者文化がアメリカナイズされていた最後の時代。後者を選択することにワクワクする気持ちを抑えきれなかった。
洋楽や洋画に夢中だった人にとって、『ラブ IN ニューヨーク』(Night Shift/1982)は忘れてはならない作品の一つ。
日本公開は1983年。個人的には「バブル80’s」になってレンタルビデオで借りて観たのが最初。軽いタイトルからは想像できないほど素敵な余韻を残してくれる作品で、「アーリー80’s」における都会の空気が全面に漂っている点がこの映画最大の魅力。東京の都心で暮らす若者にもそれくらいは分かった。
映画が撮られることになったきっかけは、「二人の若者が死体安置所で売春組織を作っていた」という小さな新聞記事。これを見たプロデューサーのブライアン・グレイザーが、ロン・ハワード監督に話を持ちかけたのが始まり。
主演はヘンリー・ウィンクラー、シェリー・ロング、そしてこれが映画初出演だったマイケル・キートン。数年後『バットマン』で大ブレイクする俳優だ。
音楽を担当したのは当時夫婦だったバート・バカラックとキャロル・ベイヤー・セイガー。オープニングで流れるクォーターフラッシュの「Night Shift」なんてまさに「アーリー80’s」の至極の響き。
しかしこの映画を支えているメロディといえば、「That’s What Friends Are For」だろう。エンディングでロッド・スチュワートが歌い上げたこの名曲は、1985年になってディオンヌ・ワーウィックらのカバーで全米No.1ヒットに輝いた。
都市生活者の孤独と愛への渇望を、都会の情景と音楽の力で包み込んだ『ラブ IN ニューヨーク』。あれから30年以上の歳月が経ち、改めてこの作品を観ることができた。
何とも言えない気持ちになった。生きてきて色々あったけど、これを初めて観たあの頃はそんなことは夢にも思わなかった。当時の自分を思い出し、あの時代の街の空気や光景が蘇ってくる……たかが一本の、そんなにヒットしなかった昔の洋画なのに。
予告編



バート・バカラック作曲/キャロル・ベイヤー・セイガー作詞「That’s What Friends Are For」が流れるエンディング。


『ラブ IN ニューヨーク』

*日本公開時チラシ


*参考・引用/『ラブ IN ニューヨーク』パンフレット
*このコラムは2019年9月に公開されました。
評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
名作映画の“あの場面”で流れる“あの曲”を発掘する『TAP the SCENE』のバックナンバーはこちらから
【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
http://www.tapthepop.net/author/nakano
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