二人の友情〜ジョン・レノンの名盤『Rock ’n’Roll』の選曲にミック・ジャガーも関わっていた!?
1960年代、イギリスで誕生したビートルズとローリングストーングは人気を二分しながらもよきライバル関係でもあった。
ミック・ジャガーはジョン・レノンと初めて会った時に、とても謙虚さを感じたことを憶えているという。
「1963年、俺達はまだレコードを作る前で、何者でもなかった。当時、彼らはすでに超大物だった。ミュージシャンというだけじゃなく、まるでアイドルのようでね。確か革のコートを着てたよ。そう、俺達にはまだ買えなかった革のコートをね。」
その年の出来事だった。
結成してまだ間もないローリングストーンズがリッチモンドのクラブでR&Bやブルース、そしてチャック・ベリーの楽曲を中心に演奏していたある夜に(革のトレンチコートを着た)ビートルズのメンバーが突然現れて観客の傍らに立っていたという。
ミックはステージ上で彼らの存在に気がついてはいたものの、目を合わせることはしなかった。
ステージ後に、関係者から互いのメンバーを紹介される。
ミックはジョンと初めて交わした言葉を憶えていた。
ミック
「君がハーモニカを吹いているんだよね?」
ジョン
「いや、僕は君らのようには吹けないよ。吸って吹くだけ。僕達はブルースはたいしてできないんだ。」
それが初めて出会いだった。
以降、ビートルズはストーンズの演奏を聴きにやってきたという。
とくにジョンは他のメンバーよりも頻繁に現れた。
ストーンズも人気者になり始め、少しずつ距離を近めていく両バンド。
ある夜、ジョージ・ハリスンがミックに向かってビートルズがストーンズよりいかに多くのレコードを売っているか熱弁をふるった。
ミックはその時のことを鮮明に憶えていた。
「確かにそれは疑いようのない事実だったよ。ジョージはとてもそのことを強調したがっていたんだ。」
その時、ジョージの隣りにいたジョンがミックにこんな一言をかけてきたという。
「ジョージのことは気にすんなよ。こいつレコードが売れていることがまだ嬉しくてしかたないんだ。」
ミックはこのことをきっかけにジョンに好意を抱くようになった。
「俺はジョンが大好きだったよ。ビートルズのメンバーの中で一番気の合った男だった。大の親友ってわけじゃないけど、いつもフレンドリーだったよ。でもビートルズもストーンズもクラブで演奏をするのをやめると、お互いにあまり合わなくなったんだ。」
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