Happy Xmas (War is Over)〜ジョンとヨーコが出した異例の広告看板から生まれた切なるメッセージソング
クリスマスがやってきた(争いは終わるよ)
弱き人にも強き人にも(それを望みさえすればね)
富める人にも貧しき人にも(争いは終わるよ)
世界はひどい過ちを犯しているけど(それを望みさえすれば)
それは1969年12月の出来事だった。
ベトナム戦争の真っ最中にジョン・レノンは結婚したばかりのオノ・ヨーコと共に、世界11都市に“WAR IS OVER “IF YOU WANT IT”(あなたが望めば戦争は終わる)と、異例の広告メッセージを発信した。
その3年後(1971年)に発表されたのがこの楽曲「Happy Xmas (War is Over)」だった。
歌は“Happy Xmas Kyoko, Happy Xmas Julian”と囁く声でスタートする。この“Kyoko”は“Yoko”と間違われやすいのだが、ヨーコと前夫の娘の京子であり、“Julian”はジョンの最初の妻シンシアとの間にもうけられた息子ジュリアン・レノンのことある。
この曲は二人の子供達へのプレゼントして作られたとも言われている。
しかし“Kyoko”と“Yoko”の名前を間違えるのも当然で、この曲が収められたアルバム『Shaved Fish』についていた歌詞カードには、当時“Yoko”と誤植されていたのだ。
フィル・スペクターのプロデュースによる“ウォール・オブ・ サウンド”が秀逸で、楽器でなくコーラスで盛り上げてゆくところにジョンとヨーコの“強い想い”を感じずにはいられない。
弱き人も強き人も、富める人も貧しき人も、黒人も白人もアジア系もヒスパニック系も…全ての人が戦争を止めてクリスマスと新年を迎えようというメッセージがストレートに伝わってくる。
歌詞では「戦争は終わった」と唄われてはいるが、実はこの曲が発表された1971年といえば…泥沼化したベトナム戦争はまだ終わっていなかった。
実際に終結するのは、それから数年後のこと。
前述の通り、歌詞のテーマは1969年に「WAR IS OVER “IF YOU WANT IT” Merry Christmas from John and Yoko」と書かれた広告をニューヨークのタイムズスクエアの看板やメジャーな新聞などに掲載し、世界平和を呼びかけたことから生まれたという。
長い歳月を経て…1998年にもヨーコは同じものを再び掲示して世界中に平和を呼びか..