レスター・ヤングを偲んで〜スイングジャズからモダンジャズへ、時代の橋渡しをした異端児

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「彼はサックスを斜めに傾けて吹いた。そして興が乗ってくると、それは更に少しずつ水平方向に傾き、最後にはフルートのように真横になった。でも、彼が楽器を高く持ち上げているという風には見えなかった。というより、楽器そのものがどんどん軽くなっていくみたいに見えた。楽器が勝手に宙に浮かんでいるみたいに。そしてもし楽器が宙に浮かびたいと望むのなら、それをわざわざ押さえつける必要はないではないか。」

<ジェフ・ダイヤー(著)/村上春樹(訳)『バット・ビューティフル But Beautiful』新潮社より>
レスター・ヤングはとても不思議なサックスの吹き方をするジャズメンだった。
決しておどけているわけではない。
まだ駆け出しの頃、楽団などで演奏する際にステージが狭かったためテナーサックスを人のいない場所に向けて吹くようにしているうちに癖になってしまったというのだ。
かつて1930年代から1940年代初めにかけて大流行したスウィングジャズの黄金時代から、モダンジャズの時代へと移行していった変遷期があった。
当時活躍したチャーリー・パーカーらの偉大なジャズメンたちにとって、彼は大きな目標となった人物の一人だったと言われている。
映画『ラウンド・ミッドナイト』の中で、デクスター・ゴードンが演じる主人公が、演奏中に「歌詞を忘れたから吹けない」と、テナーサックスを置いて出て行く場面がある。
これは実際に、レスター・ヤングが言った言葉である。
彼は、歌うようにサックスを吹くジャズメンだった。
いや、彼は本当にテナーサックスを吹きながら歌っていたのだ。
彼の演奏スタイルの最大の特徴は、音色もさることながら、その前人未踏のユニークなフレージングにあった。
彼は4小節や8小節単位の型にはまったフレーズ作りを嫌っていた。
わざと1小節を1音で吹いたり、あえて無音の小節をやり過ごしたと思えば、一聴無意味な同一音をくり返したあとに、突如スムーズな均整のとれたメロディーへとつないでして周囲を驚かせた。
絶頂期のソニー・ロリンズがこれに通ずるプレイを駆使してモダンジャズのアドリブの可能性に新風を吹き込んだが、その源はすべてレスター・ヤングが生み出したものだった。
また彼はクラリネットの達人でもあり、その奏法においてもまったく独自のものであった。
1938年~1939年に彼が行ったクラリネットの仕事は、ベイシーやビリー・ホリデイ、そしてレスター自身がリーダーを務める小さなグループ、または無名のオルガン奏者グレン・ハードマンとレコーディングした楽曲に収められている。
だが1939年、彼のクラリネットが誰かに盗まれてしまう。
その後、コンサート・プロモーターでありレコードプロデューサーであるノーマン・グランツという人物にクラリネットを渡され、吹いてほしいと熱心に説得される1957年頃まで、彼はクラリネットのことをすっかり忘れていたという逸話が残っている。
ジャズの歴史本等を読むと“スイングジャズの異端児”または“モダンジャズの開祖”というような紹介をされている彼は、一体どんな経歴を持つ人物だったのだろう?
──レスター・ヤングは1909年ミシシッピー州ウッドヴィルという町で生まれた。
彼が1歳を迎える前に家族がルイジアナ州のニューオーリンズに移住したため、そこで幼少時代を過ごす。
父ビリー・ヤングは自分の子供たちに様々な楽器を教えたという。
兄弟たちと同じく、彼もバイオリンを手始めにトランペット、サックス、そしてドラムを習得した。
彼が11歳の時、父はビリー・ヤング・オーケストラというファミリーバンドを結成し、旅回りのサーカスと共に南部を巡業するようになる。
当時彼はドラムを担当しており、父親は革製の鞭を使って厳しく指導したという。
その家庭内暴力ともいえる音楽指導をエスカレートさせてゆく夫に愛想を尽かして、彼の母親は家を出ていってしまう。
程なくして19歳になった彼は、父親の反対を押し切りドラムからサックスへと楽器を持ち替え、遂には家出を決行する。
その後、彼はいくつかのバンドを渡り歩いた末に“カウント・ベイシー・オーケストラ”に入る。



1937年、彼は楽団の仕事を通じてビリー・ホリデイと出会う。
ビリーは10歳の時に強姦され、相手が白人だったために(彼女が被害者なのに)逆に売春容疑で逮捕されるという理不尽な経験を強いられ…以来、自暴自棄になり売春や麻薬にも手を染めていた。
お互いに辛い過去を持つ者同士として意気投合し、二人は仕事仲間から飲み仲間となり…後には麻薬仲間にもなってゆく。
彼が最初に麻薬に染まる切っ掛けとなったのは軍隊だった。
第二次世界大戦が始まると、彼のもとにも入隊命令が届く。
1944年に入隊するが、妻が白人だったこともあり彼は過酷な日々を送ることとなる。
その軍隊で経験した組織的な暴力行為が、かつて父親から受けた暴力の記憶を甦らせる。
そんな状況に絶えきれず、彼は麻薬に手をつけだし軍法会議の結果、投獄されることとなる。
1945年に除隊となってからは、彼は酒にも溺れるようになり、ついには妻や子供を置いて家を出てしまう。
以降は、かつてのような演奏をすることが困難となり…アルコール中毒、薬物依存症、栄養失調など様々な問題で彼の肉体と精神はボロボロになってゆく。
そしてパリからの演奏旅行からの帰国途中の機内で倒れ…そのまま病院へ運ばれ、彼は帰らぬ人となった。
1959年3月15日、49歳の旅立ちだった。


こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。



『山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR “ちょっと長い関係の歌旅2022”】


1月15日(土)八幡DELSOL café
1月22日(土)福岡ROCK食堂(昼公演)
1月22日(土)福岡ROCK食堂2階Honey Bee(夜公演)
1月23日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis 
1月29日(土)大阪 新世界ヤンチャーズ
1月30日(日)和歌山OLD TIME
2月5日(土)久留米 農と音2号店 
2月6日(日)佐賀 雷神 
2月18日(金)横浜THUMBS UP
2月19日(土)静岡・御前崎Cook House椿
2月20日(日)名古屋ROLLINGMAN
2月22日(火)金沢JealousGuy
2月23日(水・祝)新潟Mush
3月4日(金)沖縄・コザ CROSSOVER CAFE’ 614
3月5日(土)沖縄・那覇Drunk CINDERELLA
3月6日(日)沖縄・宮古島 雅歌小屋
3月19日(土)下北沢ニュー風知空知
3月20日(日)茨城・水戸Jazz Bar Bluemoods
3月21日(月・祝)埼玉・所沢MOJO
3月25日(金)広島LIVE café Jive
3月26日(土)岡山Desperado
3月27日(日)徳島Music Bar Ricky
4月15日(金)小郡ジラソーレ
4月16日(土)熊本八代7th chord 
4月17日(日)大牟田 陽炎
4月21日(木)仙台HIGHBURY
4月22日(金)福島Harvest
4月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC 
4月24日(日)秋田・湯沢BASEMENT
4月28日(金)東広島pasta amare 
4月30日(土)福岡Bassic.(ライブ&スペシャルスライドショー)
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12713121312.html

【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】


4月2日(土)兵庫・宝塚 IL grazie
4月3日(日)京都・四条大宮高辻 夜想 
4月9日(土)茨城・古河LIVESTATION ”L”  
5月3日(火・祝)福岡・みやま市 暖古扉(だんぶるどあ)
5月4日(水・祝)大分・日田Chewing Gum
5月14日(土)横浜Bar Brixton Market
5月15日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
5月21日(土)群馬・前橋 呑竜横丁 
5月27日(金)名古屋ROLLINGMAN
5月28日(土)和歌山OLD TIME
5月29日(日)大阪 大きな輪
6月3日(金)小倉Bar Disa
6月4日(土)福岡Bar KINGBEE
6月5日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12731640575.html



佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。


佐々木モトアキ
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