
カサブランカ・ダンディ〜男がピカピカのキザでいられた時代とは?
ボギー ボギー
あんたの時代はよかった
男がピカピカのキザでいられた
1979年2月1日、沢田研二の26枚目のシングル「カサブランカ・ダンディ」がポリドールレコードから発売された。
この年のジュリーと言えば同曲に始まり「OH!ギャル」を経て「ロンリー・ウルフ」、そして年末にはアルバム『TOKIO』をリリースし、とにかくノリにノッていた時期である。
さかのぼること4年…
彼は公私共に“変化の時期”を迎えている。
1975年6月4日、7年間の交際を経てザ・ピーナッツの伊藤エミ(当時34歳)と結婚。同年7月20日、比叡山延暦寺で結婚式を行った。
同日、沢田の比叡山フリーコンサートにおいて夫婦揃ってステージに上がり、ファンに対して結婚報告を行う。
彼はそのコンサートでブルーのラメ入りのアイシャドウをしてファンの前に現れる。
お茶の間に流れるテレビ番組では控えていた奇抜なヴィジュアルも、この時期から徐々にエスカレートさせていく。
1977年に一世を風靡した「勝手にしやがれ」ではパナマ帽を客席に飛ばすというパフォーマンスを、「サムライ」ではナチスを彷彿とさせる衣装に刺青、「ダーリング」では水兵のセーラー衣装、「LOVE (抱きしめたい)」ではスタジオに雨を降らせ血で染まった包帯を手に巻いた。
さらに「カサブランカ・ダンディ」ではウイスキーを口にふくんで霧のように吹き、「OH! ギャル」では女優マレーネ・ディートリヒを真似たメイクで登場。
そして「TOKIO」では250万円の電飾衣装にパラシュートを背負い、「恋のバッド・チューニング」では青や金色のカラーコンタクトを装着するパフォーマンスを披露し、日本中に“ジュリー旋風”を巻き起こしてゆく。
そんな“黄金時代”の代表曲の一つ「カサブランカ・ダンディ」。
タイトルの“カサブランカ”は、1942年度のアカデミー作品賞を受賞した名画『Casablanca』に由来するもの。
曲のサビで繰り返される“ボギー”という男性の名前が、映画の主演を務めた名優ハンフリー・ボガードのニックネームだということは、ジュリーファンならずとも多くの人が知っている話だ。
この時代のジュリーが歌う曲の歌詞のほとんどを手がけているのが阿久悠。
この楽曲の他にも「勝手にしやがれ」「サムライ」「ダーリング」はすべて映画の題名からとったものだという。
曲のモチーフになっ..