
マイケル・ジャクソンがグラミー賞8部門を独占した歴史的な一日
それは1984年2月28日の出来事だった。
全米の音楽業界団体National Academy of Recording Arts & Sciencesが毎年開催する一大イベントGrammy Awards(第26回グラミー賞)において、マイケル・ジャクソンが8部門受賞という記録を打ち立てたのだ。
最優秀レコード
最優秀アルバム
最優秀男性ポップ歌手
最優秀男性ロック歌手
最優秀男性R&B歌手
最優秀R&Bソング
最優秀児童向けレコード
最優秀プロデューサー(※受賞はクインシー・ジョーンズ個人)
一人のアーティストが一つの作品で、このような形で最優秀賞を独占するのはグラミー史上初のことだった。
「子供の無邪気さは想像力の種だ。子供はいろいろな事を我々に教えてくれる。」
この日、トロフィーを受け取ったマイケルが語った言葉は、彼の人柄のすべてをあらわしていた。
プロデューサーにクインシー・ジョーンズ、そしてポール・マッカートニーやエディ・ヴァン・ヘイレンなどの豪華ゲストを迎えた彼のアルバム『Thriller(スリラー)』は、タイトルナンバー「スリラー」、そして「今夜はビート・イット」「ビリー・ジーン」など7曲のトップ10ヒットを叩き出し、全世界で5,100万枚以上という驚異的な売り上げを記録した。
“ポップス史上最も売れたアルバム”として金字塔を打ち立てたこの作品は(売上枚数に関しては諸説あるものの)2012年のギネス世界記録において6,500万枚の売り上げ認定を受けており、現在も売上枚数を増やし続けているという。
また、大きな反響を生んだ「スリラー」のミュージックビデオに使われた予算は1億円を超えていたというから驚きだ。
当時、1本のミュージックビデオの製作にかけられる予算は1千万前後だったので…破格の値段である。
その13分34秒にも及ぶホラー映画風のショートフィルムでは、特殊メイクを施したマイケル扮する狼男や“ゾンビダンス”が話題となった。
カメラをズームインしながらトラックバックするという、ヒッチコック監督の映画『めまい』で使われた撮影方法が用いられており、「スリラー」は映像作品としても当時のMTVシーンに多大な影響を与えた。
また、このミュージックビデオのナレーションには、往年のホラー映画俳優であるヴィンセント・プライスが抜擢されている。
プライスの起用は..