約2600年前、インドで最強を誇っていたのは、ビンバシャラ王の支配するマガダ国であった。
ビンバシャラ王は、大王として覇を四隣にふるっていた。
その妃はイダイケといい、艶麗花のような女性であったという。
夫妻は王舎城に住み、何不自由のない暮らしは、幸福そのものと思われていたが、他人には言えない悩みがあった。
ながらく、実子がなかったからである。
世の中には子供のないことを悩んでいる夫婦があるが、とくに権力者にとっては深刻な問題であるらしい。亡きあと権力をうばわれる無念さと、その報復を恐れるからであろう。
威勢を誇るビンバシャラ王夫妻も、寄る年波に前途を思いめぐらせると、心中の不安はひととおりではなかった。悩んだ結果、最高権力者も、占い師にすがるしかなかった。不安はつねに、人を迷わせる元である。
これが悲劇の始まりであった……。
アニメ映画『王舎城の悲劇』は、全国各地の公共施設で上映会を開催しています。
上映会についての情報は、下記のサイトをご覧ください。
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