3歩後ろの恋~第1回 

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 窓が夕焼けで赤く染まる頃、私はケータイを机において、ため息をついた。ずっと、ケータイの画面を見ていたからか、首のあたりが少し痛い。目をつぶりながら、首を左右にコキコキっとしてから肩をほぐすように腕を大きく回した。壁の時計を見ると、4時を少し回ったところだ。
 『あと、1時間は来ないな・・・』
 そう呟いて、机に頬杖をついた。ここには私以外に誰も居ない。グラウンドから運動部の元気な掛け声が聞こえてくる。窓からそぉっと覗いてみた。みんな、楽しそうにグラウンドを走っている。私は孤独と退屈に押しつぶされそうになる。
 『やっぱり、ユカ達とカラオケでも行けばよかったなぁ。』
 私は、今、人を待っている。別に待ってろと言われた訳ではない。でも、やっぱり好きな人とは少しでも一緒に居たい。そう思って、ここにいる。だって、ここのところ全然会ってないんだもの。
 
私の名前は、佐々木 若菜。高校3年生。卒業まであと1ヶ月ちょっと。春からは都内の大学に進学が決まっている。
卒業を前にして、3年生の授業は午前中で終わっていた。今日は、友達のユカ達とファストフード店で、お昼を食べ少し話した後、私だけもう一度学校に戻ってきたのだ。本当はカラオケに誘われたのだけど。ただ、ただ会いたい。そう思える人がいる。
今、私が居る所は、学校の理科準備室。そう、私が好きな人は先生。化学の朝倉先生。実は、先生は私の彼。私の高校の理科準備室には、私と先生しか知らない秘密の抜け穴がある。廊下側のある窓の下の扉。一つだけ鍵がかからない場所がある。
放課後、先生の会議を待つ間、そこから勝手に教室に入ることが出来る。そうやって、何度か先生を待っていたことがある。初めは、先生はそんな入り方を認めなかったけど、何度かやっているうちに注意するのを諦めて、何も言わなくなっていた。

続く

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