3歩後ろの恋~第3回

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次の日から、教室の前のドアが開くたびに、ドアの向こうから入ってくる先生に集中した。

あの先生が入ってくるんじゃないかと、ドキドキしていた。

でも、なかなか入ってこない。

結局、その日は現れなかった。はっきり言って、授業は何も耳に入ってこなかった。

どの授業も初日と言うこともあって、先生はみな、自己紹介で終わったらしい。

「らしい」というのは、隣の席に座っていた、橘 ユカが私にそう話したからだ。

ユカは人見知りをしないタイプのようで、昨日の入学式の時から、私に話しかけてきた。

そんな縁で、高校3年の今まで仲良くしている。

私と先生が付き合っているのを知っているのはユカだけだ。

もちろん、次の日も、ドアにだけ集中した。

実は昨日、裏庭の桜に、『どうか、あの先生が私のクラスの授業を担当しますように』

お願いをしたのだ。そんな神頼み(いや、桜頼み?)が効いたのか、

とうとうあの人はやってきた。

それは3時限目のこと。化学の授業だった。

いつものごとく、ドアに集中していると、すらっとした長身の男性が入ってきた。

一目で、入学式に会った先生だと気づいた。

心臓の音が周りに聞こえるんじゃないかってくらいドックンドックンいっていた。

みんなに気づかれないようにと、澄ました顔をしていたけど、

たぶん顔は真っ赤に染まっていたと思う。だって、

入ってきた先生と目が合ったんだもの。

そして、ニコって笑いかけられたんだもの。

先生は、他の先生と同じように、黒板に名前を書いた。

朝倉 真人

私は、急いでノートに名前を書き写した。

そして、誰にも聞こえないような小さな声で読んでみた。
『あさくら まさと』

その瞬間、思わずニヤけてしまった。

あぁ、好きな人の名前を口にするだけで、こんなにも幸せになれるのだろうか。

こんなに簡単に幸せになれるのなら、世の中戦争なんて起きないんじゃないかってくらい、

幸せだった。

朝倉先生は簡単な自己紹介をしてくれた。

歳は27歳で、血液型はB型、誕生日は4月13日。

休みの日は映画をよく見に行っていて、好きな女優はアンジェリーナ・ジョリー。

大学の頃は、サッカーやテニスなんかもやっていたらしい。

今でも、たまにジムに通ってるって言っていた。

授業ももうすぐ終わりって時に、先生が言った。

『次の授業、初めの10分間で小テストを行うから。

内容は、中学の復習。簡単なやつだからな。』

教室中、ブーイングの嵐になった。

確かに次の授業でいきなりテストをやる先生なんて、朝倉先生が初めてだった。

先生は、さっきまでの優しいお兄さんって感じから一気に厳しい口調に変わった。

『静かに!もう高校生だろ?いちいちテストくらいで大騒ぎするなよ。

だいたい、この高校入学できたんだから簡単だ。』

教室は一気に静かになった。

先生は、真面目な顔つきだった。授業中だもの当たり前か。

でも、目の奥で、何か笑っているようにも見えた。

みんなが、嫌がっているのを楽しんでいる?

ちょっと、ゾクっとした。でも、イヤじゃない。

むしろ、また先生に引き込まれてしまった気がした。

次の授業は、明後日。明後日になったら、

また会えると思ったらテストなんて苦じゃなくなっていた。

続く

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